いつも元気で

いつも明るくて

誰にでも優しくて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気になる人、好きな人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゃ〜ん」

「はいは〜い」

 

彼女はここ新撰組屯所で働く女中だ

 

さ〜ん」

「あ、は〜い」

 

可愛くて、素直で、仕事もいつも一生懸命で

誰からも好かれるとてもいい子だと思う

 

〜」

「は〜い」

 

それでもちょっと気に入らないことがある

 

ちゃん、ちょっと来て〜」

「は〜い、すぐ行きま〜す」

 

何が気に入らないってさ・・・

 

 

 

「ねぇちゃん」

「なんです?永倉さん」

 

そう言って笑顔で振り返る

可愛い・・・

 

じゃなくて!

 

ちゃんはさ、好きな人とかいないの?」

「皆大好きです」

 

またそう、ニコニコしながら言って

 

気に入らないのはちゃん自身じゃなくて

皆に好かれるちゃんなんだよね

 

「そういう好きとかじゃなくてさ、特別に」

「特別?」

「うん。恋仲になりたい人とか・・・」

「う〜ん?今のとこはいませんけど・・・」

「そっか」

 

いや、好かれるのはいいんだ

それだけ彼女が誰から見てもいい人、ってことだから

でも

 

ちゃんっていいよな〜」

「何ヨ、平助」

「だからいい女だよな、って言ってんの」

はいい女だよな。俺もそう思う」

「・・・・」

 

でもこの二人、

小さくて可愛いものに目がない平助と

頭まで筋肉バカの左之

そして

 

さん、今度一緒に甘味処行きましょうv」

「ええ、いいですよv沖田さん」

 

総司までもがちゃんに惚れているってこと

それがどうにも

気に入らねぇー・・

 

「はぁー・・・」

「どうしたのよ、溜息なんか付いちゃって」

「別にぃ?」

「新八っつぁんらしくないなぁ・・・」

「あれだろ、あれ」

左之が笑いながら言って平助に目配せする

「んぁ?」

「なるほど!あれか!!」

平助も分かったように手をぽんっと叩いて

それで二人してニヤニヤする

「何ヨ・・・」

「「恋煩いだろ」」

「・・・」

スバリ言い当てられて

とゆうか煩いってゆうか

お前ら二人とここにいない総司までが同じ人好きになってるってのが

本当

「・・・気に入らねぇ・・・」

「な、何だよ!!それじゃ返答になってねぇよ、新八っつぁん!!」

「ああもう、本当に気に入らない」

そう言って立ち上がって

不思議そうな顔する二人を置いて

その場を去った

 

ちゃんを俺だけのものにしたい

なんて

そんなこと、前までは思ってなかったのに

だけど平助や左之が良いって騒ぎ出して

総司までもがを気にするようになって

 

俺は最初からちゃんのこと好きだったのに

後から後からそういう奴が出てきて

 

本当、気に入らねぇ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、永倉さん!!」

街中を歩いていたら後ろから声かけられて

振り返らなくても声だけでわかる

ちゃん」

振り返って見ると彼女はいつものようにニコニコしていて

両手には大きな荷物

「重そうだネ。買出し?」

「はい、今晩の夕餉の」

胸に抱えた醤油瓶、左手に野菜などが入った袋

「手伝うよ」

「え、いいですよ!!」

「女の子にそんな重いの持たせられないでしょ」

「でも、永倉さん非番でしょう?」

非番と荷物持つのと何か関係あるんだろうか・・・

そんなこと思いながら

ちゃんの荷物を無理矢理奪う

「・・ありがとうございます」

にっこり笑って言って

やっぱりちゃんは可愛い

「ねぇ、ちゃん」

「なんです?」

「ちょっと時間ある?」

んーと小首を傾げて悩んで。

こういう仕草、他のどの女がやっても絶対ワザとだと思うけど

ちゃんがやると凄く自然で

早い話がやっぱり可愛い

「少しだけなら」

「じゃあさ、ちょっと一緒に歩かない?」

あ、何か変な誘い方だな

今も普通に歩いてるのに

だけどちゃんは嬉しそうに

「いいですよ」

と言った

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇちゃんはさ、本当に特別に好きな人とかいないの?」

さり気なく聞いてみると

彼女は少し困ったように

「いないんですよね」

って言って

少しガッカリした

「でもさ、少し気になるとかそういうのはいるでしょ」

「う〜ん?そうですねぇ・・・」

彼女の次の言葉をドキドキしながら待った

 

少しの沈黙の後、彼女が口に出したのは

「永倉さん」

「へっ!?」

「永倉さんはいないんですか?そういう方」

何だ

『少し気になる人』が俺だと思った

またもガッカリ

「俺のことはいいでしょ。ちゃんは?」

「私のことなんてどうでもいいんです!永倉さんはどうなんです?」

「・・・・俺は」

本当は君が好きで好きで仕方ない

「・・・気になるくらいの人なら・・・」

そう言うと

彼女は目を輝かせて詰め寄ってきた

「誰です!?誰なんです!?教えてください!!!」

 

・・・女の子って色恋話が好きなんだよね、結構・・・

 

「んー・・・内緒」

「えー!?いいじゃないですか!!」

「じゃあちゃんの気になる人、教えてよ」

「私のことはいいんです。永倉さんこそ教えてくださいよ!!」

「俺のことはどうでもいいの。教えてよ、気になる」

「・・・嫌です」

「何で?」

「・・・絶対笑われます」

「笑わないよ?」

笑うってことは俺の知ってる奴か

「絶対、無理だ、って言います」

「そんなこと言わないヨ」

無理ってことは・・・もしかして土方さんとか・・・?

「絶対絶対言いませんか?」

「絶対絶対言わない」

少し沈黙して

顔を赤らめて

 

「・・・永倉さん」

「!!」

「永倉さんも教えてくださいよ?」

「・・・うん」

何だよ、またかよ

さっきと同じじゃん、これ

「教えて?」

 

また沈黙して

 

「私の気になる人は・・・」

「うん?」

「いっつも優しくて」

「うん」

「すっごく強くて」

「うん」

「ステキな・・・」

「・・・」

 

そこまで言ってまた沈黙

 

「・・・永倉さん」

「うん?」

次は騙されねぇよ?

「・・・あー!!!恥ずかしい!!!」

「へっ?」

「ほら!!永倉さんも教えて下さいよ!!」

「・・・ちょっと待って」

「なんです?」

「優しくて強くてステキな、誰?」

「だから永倉さん」

「え」

「あなたです」

 

えーっと、つまりそういうことですか?

 

「・・・やっぱり言わなきゃ良かったわ・・・」

「えっと、ちゃん?」

「あの!別にただ気になるってだけなのであまり深刻に考えないでください」

「んーっと・・」

「もう!永倉さんばっかりズルイです!教えて下さいよ!」

 

ああ、そっか

ちゃんの気になる奴って

俺って事ね

 

うん

 

そっか

 

・・・。

 

どさ

 

 

 

ぎゅむ

 

 

 

「ちょっ・・・永倉さん!!!」

ちゃん」

 

 

状況を把握した途端、

無意識に荷物を下ろして、じゃなくて落として

そのままちゃんを抱きしめた

 

 

「永倉さん!!」

ちゃん」

「なんです!?」

ちゃんが好き。大好き」

「・・・は?」

「どうしようもないくらい大好き」

 

彼女は多分赤くなってるだろう顔を俺の胸に埋めて

小さくありがとうと言った

 

 

 

 

 

 

それから恋仲になったのは1週間ほど経ってから

 

 

 

 

 

 

 

言い訳
醤油瓶って落としたくらいじゃ割れませんよね・・?(信じて書いてみました)

ぱっつぁんの口調がよくわかんなくなってきた・・・。
そして左之。え?こんな口調だったかしら?(オイ)
ちょっと逆ハーチックに書いてみようと心がけました。
全然逆ハーじゃないんスけど・・・。文才が欲しい今日この頃。
これ、タイトル、最初は『先手必勝』でした(ぷ)
そして書いてる途中に「こりゃ全然逆ハーじゃねぇな、ヒロイン絡んでないし」ということで
『気に入らねぇ』で、最終的に『気になる人、好きな人』ってゆうよくわかんないタイトルに・・。
ってゆうかピスメは銀魂と違って時代設定がしっかりしているので言葉に制限があって難しいです。
でも新八っつぁんは大好きだ・・・!!!!

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