目が覚めると、台所の方から味噌汁のいい香りがしてきた

トントントンとリズムよく叩かれる音

・・・包丁で何かを刻んでいるんだろう

 

よし。そろそろ起きよう。

愛しい人が、俺が起きるのを待っている

 

 

 

 

 

 

どいつもこいつも馬鹿ばっか

 

 

 

 

 

 

彼女はこちらに背を向けていた

俺はそっと足音立てず、彼女の背後へ忍び寄る

 

・・よし。気付いてない。

 

「・・・ふー・・・」

「ふぎゃぁ!!」

「何、その、尻尾踏まれた猫みたいな声は」

「へ、平助!」

「おはよ、

「包丁持ってるんだからそういうことしないでよね!!」

 

顔を真っ赤にさせて彼女は言う

別に・・・俺は耳に息吹きかけただけなんだけど

 

「おはよ。

再度口にするとは苦笑しながら、「おはよう」と返してくれた

たまらず俺は彼女を背後から抱きしめる

「ちょっと、平助」

「んんー・・・、いい匂いするー」

「平助、離して?朝ご飯作ってる最中なんだから」

「えー・・・じゃあ口付けて?」

「え・・・」

 

頬を僅かに染める

・・・可愛い・・・

俺の自慢の妻だ

 

「・・・しょうがないな・・・」

 

チュッ

 

軽く、触れるだけの口付けをし、彼女は真っ赤になりながら小さく笑う

彼女は俺の腕の中だ

俺は、もうほとんど限界みたいで

 

・・・朝餉はいいから・・・布団行こう?」

「え、ちょ・・」

「もう我慢できない」

「でも・・・」

「いや?」

 

そう聞くと、彼女は小さく首を横に振る

「そんなことない。平助のこと愛してるから・・・」

小さくそう言った彼女を俺は、ぎゅうっと抱き寄せ

その可愛らしい唇を奪う

 

深く口付ける

そのまま彼女の着物の上に手を這わせ・・・・

 

 

 

「・・・何コレ。ばっかじゃないの、平助」

 

 

 

新八は呆れたように呟いた

手には一つの本・・・のようだが、中身は平助の字で綴られている

左之は面白ろそうにそれを覗きこむ

 

「何だ〜?『新婚日記』ぃ?」

 

表紙に書かれた文字を読み上げ、平助に問う

 

「誰と誰の新婚日記だよ、平助」

「左之、さっき一緒に読んだでしょ。これは・・・」

「俺とちゃんの」

 

平助は夢見がちにそう言い、平助は頬を染める

左之は眉を寄せ、新八は呆れ顔だ

 

「「お前、馬鹿じゃねぇの」」

「むっ!馬鹿って言うなよ!」

「新婚日記っていうより、卑猥小説ダヨ、これ」

 

新八は溜息を吐きつつ、日記を摘み上げる

左之がそれを奪い、パラパラと中を見る

 

「んだよ、コレ。ほとんどヤッてる話じゃねぇか」

「そりゃ新婚だし。お盛んだから」

「「やっぱ馬鹿だろ、お前」」

「二人して馬鹿馬鹿言うんじゃねぇよ」

 

平助は憤慨しながら日記を取り上げる

 

「ってゆうか、平助さ、ちゃんと新婚じゃないじゃん」

 

新八が静かに言う

 

「ってゆうか付き合ってもねぇじゃん」

 

左之が眉間に皺を寄せて言う

 

「「脳内彼女か?」」

 

二人が声を揃えて言う

平助は押し黙った

 

 

 

平助とは恋仲ではない

かつ、相思相愛というわけでもない

つまりこの日記は

 

「ああ、平助。前言撤回するヨ。妄想日記だね、コレ」

 

新八は心得たように言った

 

「妄想じゃねぇよ!強いて言うなら未来日記みたいな?」

「お前の未来にちゃんはいないヨ」

「勿論、過去にも現在にもな」

「なんだよ、ソレ。俺が頭ん中でちゃんを作り上げたみたいな言い方だな」

「違う違う。そういう意味じゃなくて、」

 

新八は、言いながらなぜか刀に手をやる

 

ちゃんを嫁に貰うのは俺だってこと。ねぇ、左之?」

 

にっこりと黒い笑みを浮かべて、狸は言った

それに頷くどころか、左之も刀に手をやる

 

「何言ってやがんだ、は俺の女になるんだよ」

 

笑いながら、それでも額に青筋が立っている

平助も二人に見習い、刀に手を

 

「何々、二人共。ダメじゃん。勝手に人の女を脳内彼女に仕立て上げちゃ・・・」

 

平助の言葉を鼻で笑う新八

 

「お前みたいなキツネ、ちゃんはなんとも思ってないヨ」

「へぇ・・・俺がキツネなら新八っつぁんはタヌキだね」

 

二人は睨み合いながら刀の鍔を強く握り締める

 

はお前らみたいなヒョロヒョロの動物なんか興味ねぇよ」

「左之、ちゃんはお前みたいな筋肉馬鹿をそういう対象で見てねぇよ」

「ってゆうか見ようともしないだろうネ」

 

三者、互いの可能性の無さを口にし

沈黙

そして

 

「「「(ちゃん)は俺の女だァァァ!!!!」」」

 

抜刀

屯所の一室が血に染まった

 

 

 

 

 

 

 

「血の気が多いですねぇ・・・」

クスクス笑いながら、襖を静かに閉める総司

今までの成り行きを静かに覗いていたのだ

「本当に、馬鹿な人たちですね」

黒い笑みを浮かべて

さんは私のモノなのに、ねぇ?サイゾー?」

腕に抱えるサイゾーを見下ろし、総司はほくそ笑む

サイゾーはブルブル震えていた

 

「そうなんですか!?沖田さん!!」

 

後ろから、少年が叫ぶ

新撰組、最年少隊士、市村鉄之助だ

どうやら今の独り言を聞いていたらしい

隣りには兄である辰之助がいる

 

「あれ、鉄くんじゃないですか」

 

にっこりと爽やかな笑みを浮かべる総司

先ほどとは別人だ

 

「聞いてたんですか?」

「はい。まさか姉と沖田さんが恋仲だったなんて気付きませんでした」

「ふふふ。内緒の仲ですから〜」

「へぇ、あ、じゃあ、俺はこのこと、黙ってた方がいいんですか?」

「そうですねぇ・・・。出来れば、そうして貰いたいです」

「わかりました〜」

 

鉄之助は、慕っている総司から秘密事を教えてもらったのが嬉しいのかニコニコと機嫌良さそうに顔を緩める

(うわぁ、なんか男と男の約束みたいだ!)

考えていることが子供だ

 

「鉄、悪い。先行っててくれ」

 

辰之助が呟く

視線は総司だ

その視線に気付いたのか総司は黒い笑みを浮かべる

 

「え〜?何でだよ、辰兄!これから買い物付き合ってくれるって言ってたじゃん!」

「後で行くから、ほら、行け」

 

そう言ってしぶしぶ鉄之助はその場を去る

残された二人は五刹那ほど見詰め合った

睨みあっているといっても過言ではない

 

「・・・沖田さん、どういうことでしょう」

「何がです。辰さん」

「あなたがさんとお付き合いなさっているということですが」

「本当のことです」

「ウソですね」

「本当です」

「いや、それはウソだ」

「・・・今日の辰さん、らしくないですよ」

「沖田さんこそ。さんを脳内彼女に仕立て上げるなんてどうかしてる」

「へぇ・・・辰之助さんもさんに好意を寄せているなんて思いもよりませんでした」

「それはこっちの台詞です!」

「私に楯突くんですか」

 

図星を差され、顔を真っ赤に染める辰之助

それに対し、総司が静かに低い声色で言う

顔に笑みは残っていない

敵を見る目だ

 

「・・・あの、沖田隊長?」

 

真っ青になる辰之助

逃げるが勝ち、と言わんばかりに凄い勢いで後ろを振り向き走り出す

総司は瞬時に抜刀した

 

ここでも、血が流れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一体、何やってんだ、アイツらは・・・」

副長は静かに煙を吐き出し、局長に告げる

下っ端隊士から、各隊長が刀を抜き暴れているとの通報を受けたのだ

「まぁまぁ、いいじゃないか、歳。若気の至りって奴だ」

がはははと大口で笑う近藤

「ったく・・・何のために局中法度があるってんだ」

「ああ、『ワタクシの闘争を許さず』って奴か」

「近藤さん、アンタ、なんでそんな面白そうな顔してんだよ。隊士が法度破りしてんだぞ」

「まぁまぁ、これくらい、闘争とは言わんだろ」

 

瀕死者が出てるというのに軽く言う局長

 

「でも、君はモテルな、本当に」

「あの小娘のどこがいいんだか」

「そんなこと言って歳も気になるんだろ?」

「べ・・別に」

「んんー?そうか?」

ニヤニヤ笑う近藤を嫌そうに土方は見る

その頬は少し赤い

 

(何や、副長もアイツんこと好きやったんか)

 

表情を変えず、それを見届け、

数尺ほど開いた襖をススムは静かに閉じた

ススムも、総司同様覗き見をしていたのだ

さすがは忍。新撰組局長、副長に気付かれずに事を終えた

 

 

 

 

「本当に・・・どいつもこいつも何でこいつに気があんねん」

無表情で歩きつつ、隣りにいる彼女に

聞こえない程、小さい声で、口の中で発しているかのように極小の声で呟く

「は?なんか言いました?山崎さん」

「なんも言っとらん」

は隣りにいるススムを見上げ、不思議そうな顔をした

「そういえば、さっきから至るところで悲鳴が聞こえますけど何かあったんですかね?」

「・・・知らん」

「まぁ、大事じゃなければいいんですけどね!」

「・・・(コイツ)」

屯所が戦場と化そうとしているというのに、暢気に笑う

ススムは呆れ顔でを見つめた

「あ!山崎さん、一緒にお茶しませんか?この前買い物手伝って頂いたし、何か御礼したいです」

「ああ、別にええけど」

「やった!近くに美味しい甘味処があるって噂聞いたんです。そこ、行きましょう?」

 

は、隣りのススムの手を握る

「おい」

驚きつつも、冷静にそれを止めようとするススム

「べ、別にいいじゃないですか。手くらい繋いだって・・・」

顔を赤くさせ、は言う

山崎は溜息を吐いた

 

「俺はこっちのがええ」

 

手をパッと解き、の肩を抱き寄せる

 

「早う行くぞ」

(誰かに見られる前に)

「はい!」

 

二人は足早に屯所を後にする

 

 

「・・・本当に阿呆の子ばかりやな、ここの人達は」

―――こいつはすでに俺のモンや―――

 

屯所を出るとき、声にならない声でススムは独り呟いた

 

 

 

 

 

 

ごめんなさい。
長いので強制終了。う〜ん、イマイチよくわかんねぇ話ですね!(開き直り?)
最初は新八夢でしたが。なんとなく成り行きでススム落ちに。
逆ハーが書きたいと思って書き進めてたらこんなのができちゃいました;
ってゆうかヒロイン、3分の1しか出てないしネ★
あは。すみません。なんかすみません。ホントすみません。マジ、心から謝ります。

 

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