キョロキョロと、辺りを見回す黒服の人
長めの黒髪
あの後姿は・・・
「山崎さん・・・?」
声をかけるとビクっと肩が揺れて、彼は振り返った
「き、奇遇ですね!!!!」
ぱぁぁっと子供のように嬉しそうな顔をするこの人は
真選組の監察方を担っている、凄い人だそうだ
・・・人は見かけに寄らない・・・(ボソ)
「山崎さん、お仕事ですか?」
「いえ!今終わりました!!」
「あ、じゃあ誰かと待ち合わせですか?」
「え?」
「だってキョロキョロしてましたから・・・誰か探してるのかと・・・」
「あーそれは・・・」
山崎さんは頬を少し赤くして
「んーっと・・・」
視線を泳がせて
「実は・・・」
そして突然、私の手を握り締めた
「あなたを探していたんです」
照れ笑いを浮かべて私を見つめる
「その・・・ちょっと顔が見たくなったんです」
その笑顔に私も照れ笑いを浮かべた
「ハボ。」
「・・・・」
「ハボ。まだ怒ってんの?」
「・・・・」
溜息一つ
今、彼、ジャン・ハボックは酷くご立腹中です
「ハボック。いい加減にしてくれない?」
「・・・・」
彼が怒っている原因
それは
私が彼のキスを拒んだから
「ハボック少尉」
「お前さ」
机に向かってこちらに背を向けて
少し低い声で彼は言った
「何で階級呼ばわりすんだよ」
「は?」
「何で名前で呼ばないんだよ」
「・・・あれ」
「何だよ」
酷く拍子抜けした気がした
「キス拒んだことを怒ってるんじゃなかったの?」
「それもだけど!それよりも」
「名前で呼ばれたい?」
「・・・・」
私は彼を名前で呼ばない
ジャン
って名前があるのに今まで一度も呼んだことがない
今までそんなこと気にしなかったけど彼は気にしていたようだ
でもさ、ほら、仕事中だし
一応他の上官の人とか見てるかもだし
私も一応大佐の地位にいるわけだし
そういう風に見られると出世に響いたりしちゃうかもだし
でもまぁ、
「ジャン」
「!」
呼ぶと彼はビックリしたようにこちらを振り向いた
「ジャン」
「・・・」
口を開けて目を丸くして
何て可愛い彼氏なんでしょうかね、全く
「ジャン、ごめんね」
ちゅっと軽い音を立ててキスをする
「え・・あの・・ちょ・・」
あーあ、てんぱってるよ、この男
顔を赤くして慌てるハボ
「さっきのお詫び」
そう言うと今度は彼が私にキスをした
「それのお詫び」
今度は私が
そして次は彼が
『お詫びのお詫び』が続いて何度も何度も唇を重ねた
「ぱっつぁん」
平助が裾を引っ張って呼ぶ
「何ヨ」
「あの娘も忍かな・・・」
「どの娘?」
「あの娘」
指差して見ると洗濯物をせっせと片しているまだ若い女の子
最近新撰組に入った女中
「忍かなぁ・・・」
「さぁね。でも局長が普通の子を雇うと思う?」
「だよね」
む〜んと考え込む平助
一体何がしたいのやら
「何なのヨ。一体」
「俺さ、あの娘に恋しているかも」
「ハァ!?」
「何かほら、小さくて可愛いし。表情もコロコロしててさ。なんか和むんだよね」
そう言って彼女を見つめる平助の目は優しいモノだ
「うん、確かに可愛いね」
俺もそれは認めるよ
「話してみると結構和んじゃうしね」
癒し系だと思うよ
「とってもいい娘だと思うよ」
「でしょ」
でもさ
「平助」
「なぁ、ぱっつぁん。俺とあの娘の仲取り持ってよ」
「ヤダ」
即答してやった
「何で」
「ってゆうかあの娘はやめときなよ」
そう言うと平助は眉間に皺を寄せて
「何でだよ」
と言った
「何でも」
「意味わかんねー」
「わかんなくて結構」
人の恋愛に首を突っ込む主義ではないってわけでもないんだけどね
・・・でもね
俺もあの娘に惚れてるから
悪いね、平助
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