花を抱えて

墓石の前に立っているのに

実感が湧かない

 

 

 

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早めに上がろうと思っていたけど

結局仕事が多くて

司令部を出たのは夕方だった。

 

このままでいっか。

お葬式じゃないし。

あ。

花、買わなきゃ。

何がいいだろう。

私の好きな花でいいかな。

 

そんなことを思いながら、

考えながら

昔のことを思い出す。

 

 

 

『君、名前なんてゆーの?』

よ』

か。俺はマースだ。マース・ヒューズ。宜しくな』

『ええ、宜しく』

 

 

って恋人とかいねぇのか?』

『何で?』

『だって綺麗な顔してるのにそういう気配が全然しない』

『んー・・』

『あ!もしかしてロイのことがスキとか?』

『違うし。っつーか断固拒否』

『そこまで否定しなくてもいいじゃないか。は酷いなぁ・・・』

『ほら。が酷いこと言うからロイが傷付いちまってんじゃん』

『あはは〜冗談だよ〜ロイ』

 

 

もセントラル配属だろ?』

『マースも?』

『おう。これからも宜しくな!』

『うん』

 

 

『俺さ、結婚するんだ』

『結婚?グレイシアさんと?』

『ああ。実は子供が出来てな・・』

『あ〜出来ちゃった婚!!!マース、いやらし〜』

『ばっ・・!愛し合う男女なら当たり前の行為をしたまでだ!!』

『あはは。うん、おめでとう!自分のことみたいに嬉しいよ!!』

『ありがとう、

 

 

 

 

「久しぶりね、マース」

昔のことを思い出していたら

いつの間にか花を抱えて墓石の前に立っていた

無意識なのにここまでこれたなんて、私って凄い

 

冷たい風が吹いてて

辺りも暗くなって

私、1人

花を抱えて

彼の前に立つ

こうして墓石の前に立たないと

マースが死んだんだって

実感が湧かない

今でも彼が生きて

笑って

側にいるんじゃないかって

錯覚さえ起きてしまう

「マース・・じゃなくて。ヒューズ准将、お久しぶりです」

とりあえず近況を報告しよう

「マスタング大佐がセントラルに移動になってから随分と立ちました」

「エドももう16歳です」

「エリシアちゃんとグレイシアさんにこの前会いましたよ」

「2人ともお元気そうでした」

全部ひとり言

返事が返ってくるはずがない

「ねぇ、ヒューズ准将」

幻聴でもいいから

「何か言ってくださいよ」

いつもの妻自慢でもいいから

「ねぇ」

娘自慢でもいい

「マース・・・っ!!」

 

気付いたら涙が溢れてて

堪えても堪えても止まらなくて

実感湧かないって思ってたのに

思い込んでたのに

やっぱり彼が死んだってことは事実で

自分でもちゃんと、いやなほどに理解してて

 

 

 

 

 

「っ・・・!!」

 

 

 

 

 

止めどなく流れる涙を

私の濡れた頬を

大きな手が優しく拭って

私の震える体を

誰かが優しく抱きしめた

 

 

 

 

次逝く→

 

 

 

ヒューズ←ヒロイン・・・です;あわわ

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